足趾の骨折(足の趾の打撲だと思っていたら、 骨折だった!)

足趾の骨折は、裸足になることが多い日本人には受傷する機会が多い骨折であると思われます。

といって、手術までいくことはあまりありません。

打撲だと思っていて、なかなか痛みが引かず、
実は骨折だったと後からわかる場合もよくある骨折です。

このページでは、

足趾の骨折について見ていただき、
それをどのように治療していったのかも御覧いただこうと思います。

足趾の骨は上の図にあるように、

足の親指は2つの骨でできており、
他の4本の趾は3つの骨でできています。

これは手の指もまったく同じ構造です。

足趾は靴で守られるので、

あまり骨折することはありません。

しかし、

ひとたび骨折すると靴が入らないとか、

靴がすれて痛いとかいうわずらわしさが出てきます。

足指の骨折で多いのは、

上の図のように基節骨の骨折です。

机の角で小趾が無理やり曲がって折れてしまったり、
爪先立ちになる姿勢で体重が乗ったりする場面で骨折が起こります。

実際に小趾を骨折している方の写真です。

内出血が起こっていますが、

打撲のようにも見えます。

 

しかし、レントゲンを撮ってみると、
小趾の基節骨に斜めに走る骨折線が入っています。

こういった足趾の骨折に対しては下の図のような固定を行って治療します。

足の裏にアルミの板を足に合わせて加工し、テープで隣の趾とあわせて添え木代わりにして固定し、
さらに足の裏にもテープで固定をします。

時には、上の図のように、
添え木代わりに隣の趾とテーピングで止め付けることで固定する場合もあります。

以下で実際の患者さんの症例をご紹介します。

基節骨骨折

34歳の女性です。

小趾をぶつけて、受傷されました。

足の左小趾だけではなく、

足背にかけても皮下出血の跡があります。

痛みが強いので来院されました。

一見打撲のように見えますが、

レントゲンを撮ってみると・・・。

赤矢印で示したところに、

骨折線があり、
上記のようなアルミ板で固定する治療を行いました。

3週間程度固定を行うことで、

問題なく骨がつきました。 

61歳の女性です。 

左足の小趾を紐に引っ掛けてしまい、
無理やり小趾を外に引っ張られ受傷されました。

外見からも左の小趾がすこし外側へ向いているように見えます。

レントゲンを撮ってみると、

赤矢印の部分で骨折しているのがわかります。 

さらに別の角度からレントゲンを撮ってみると、
骨が外側に沿って

変形していることがわかりました。 

この方も、アルミ板で固定して治療することになりました。

固定後3週間で骨は問題なくくっつきました。

17歳の男性です。

右小趾の痛みと変形を訴えて来院されました。 

レントゲンを撮ってみると、
このレントゲンだけでは何も問題が無いように見えます。 

しかし、角度を変えてレントゲンを撮ってみると、
小趾の骨がずれていることがわかります。 

そこで、徒手整復といってずれた骨を元の位置に戻す手技を行いました。

上のレントゲンが徒手整復後のものです。

骨折してずれていた骨が元に位置に戻っています。

骨が元の位置に戻っていることを確認して、ギプス固定を行いました。

骨の安定性を確実にするために、
今回はあえてギプス固定を選択しました。

固定1ヶ月後のレントゲン写真です。

骨折部分がきれいに修復され元に戻ってきているのがわかります。 

修復が確認できた時点で固定は解除されました。

19歳の女性です。

右足趾の変形と痛みを訴えて来院されました。

外観から見た感じで骨折ということがわかりますが、
どこまで元に戻せるのかということが問題になります。 

実際にレントゲンを撮ってみると、小趾がくの字に曲がっています。 

徒手整復を行い、骨を元の位置に戻して、レントゲンで確認した後 、アルミの板で固定しました。

このレントゲンでは、

完全に趾がまっすぐになっていないように見えますが、

隣の趾とテーピングをして固し、

さらにアルミの板で固定することで、

元の位置に修復されていきます。

受傷後2週間の外観です。

小趾が元のようにまっすぐになっています。 

この時点でレントゲンを撮ってみると、

骨折線はまだありますが、中の骨は埋まってきて安定性が得られてきています。

この時点で、アルミの板固定を

念のためもう1週間だけ行い、
その後はテーピングだけの固定にして、
受傷後1ヶ月で完治しました。

以上のように、

基節骨の骨折は約3~4週間の期間を経て、

骨折は治って行きます。

しかし、骨がくっついた後でも、

皆さんがよくおっしゃられることは、

「腫れがひかない」とか「靴が履けない」とかということです。

足趾の骨折後、骨折自体は治っても、

腫れがひかないなどのタイムラグが起こることがよくあります。

腫れなどの問題も徐々に治っていきますので、

心配ありません!

基節骨骨折だと思っても・・・。

単純な骨折ではないケースもあります。

上のレントゲン写真は、

左の第3趾の痛みで来院された方のものです。

対して強い外力ではないのに痛みが強くあり、

レントゲンを撮ってみると基節骨の骨折が認められました。

しかし、大切なのは赤丸で囲んだ部分にあります。

他の趾の基節骨と比べて、

形がいびつに変形しているのがわかりますか?

これは良性の骨の腫瘍によって基節骨が弱くなっているのです。

こういった場合には些細なことで骨折が起こるのです。

こういった骨折を「病的骨折」といいます。 

こういう場合には骨折が治ってから、骨腫瘍を手術で取り除くことで、問題なく治ります。


中節骨骨折

23歳の女性、右足の第2趾の痛みで来院されました。

階段を上っていて足を踏み外した際に、趾に無理な力がかかり、趾が曲がり、痛みが走りました。

レントゲンを撮ってみると、赤丸で囲んだ部分に小さな骨片見えました。

骨折した部分が、すでに骨片になっているので、こういった場合には整復できないので、
テーピング固定をして、患部の腫れと痛みがひいていくのを待ちました。

このように固定していくうちに、骨片も元のように問題なくついて治っていきます。 


末節骨骨折

42歳の女性です。

いすの上に上がっていて、転落した際に左親指に体重がかかり受傷されました。 

レントゲンを撮ってみると、左親指の末節骨に骨折線が見られました。

(赤矢印ではさまれている部分)

この方はアルミ板で固定し、2週間で完治しました。

51歳の男性です。

1週間前に、持ち上げた机が足趾に落下して受傷されました。

受傷当初は様子を見ておられましたが、痛みと腫れが続くため来院されました。

レントゲンを撮ってみると、赤矢印ではさんだ部分に骨折線が見えます。

この時点でアルミ板で固定し、

腫れと痛みがひくのを待ちました。

固定後3週間程度で完治しました。

13歳の男性です。

野球の練習中に受傷し、

足趾が腫れていたので来院されました。

外観上も腫れと皮下出血があり、

骨折を疑いました。

レントゲンを撮ってみると、
右の良い方の足と比べてみると、
左の親指の関節の隙間が開いており、
小さな骨片が間に挟まっていることがわかりました。

手術することで、骨片を取り除き、

元の関節の隙間と同じ状態に戻りました。

手術後、短期間固定しますが、

痛みが無くなれば固定を解除し、
リハビリを行っていきます。

手術後約2週間ぐらいで完治しました。 

足趾の骨折はそのほとんどが固定療法で治ります。

ですが、最初に打撲と思って様子を見ていると痛みがひかずに長引く場合もあります。

ぶつけたり、はさんで足趾が痛む場合には、
早めに整形外科を受診される事をお勧めします!

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