このページでは、成長期腰椎分離症に対して骨癒合を目的とした治療の流れについてご説明したいと思います。
成長期腰椎分離症を骨癒合に導くための考え方
腰椎が分離し始めると、骨吸収期という骨の亀裂が出現し始める時期(①・②)をむかえます。
骨吸収が終わり、骨形成期(④・⑤)に向うポイントとなる時期を骨転換期(③・赤のライン)といいます。
腰椎分離症を早期に発見し、治療が開始できた場合には骨形成期(④・⑤)へと移行し、骨癒合へとむかいます。
しかし、腰椎分離症を早期に発見できなければ、偽関節(⑥)となる事があります。
そこで、当院では早期発見早期治療が重要であると考えています。
その考え方は以下のようなイメージです。
早期発見、早期治療することで、より早く骨転換期をむかえられるようにし、
骨形成期を経て、骨癒合へ向かう期間を短縮することができると考えています。
以下に、当院での診断から治療の流れをご覧いただきたいと思います。
成長期腰椎分離症の治療の流れ
まず問診を行って、スポーツ活動中に腰の痛みがあることが分かった場合には、理学所見をとって、腰椎分離症を疑います。
次にレントゲン写真の撮影を行います。
上の2枚のレントゲン写真は、両者とも診断名は「腰椎分離症」です。
分離像がレントゲン写真でわかれば、簡単に腰椎分離症と診断できますが、
分離像がないのに、腰椎分離症と診断名をつけるのは、何かおかしいと思われるかもしれません。
実は、レントゲンで分離像がない段階ですでに分離症は進行しています。
以下にお話していく骨癒合を目的とした腰椎分離症の治療は上の写真の「分離像なし」の患者さんを対象にして行います。
つまり、先に述べた「早期に治療に取り掛かる」という考え方のもとに行っています。
上記のようにレントゲン写真を撮って、分離像がなかったとしたら、早期の腰椎分離症を疑いMRI撮影を行います。
MRI撮影が行われる場合の治療の流れは以下のようになります。
MRI 撮影で輝度変化(黄色○の部分)があれば、疲労骨折の信号であるので、骨癒合の見込みがあると判断します。
そこで、骨の状態をさらに詳しく見るためにCT撮影を行います。
CTは分離部がどのような状態になっているかを判断するとともに、その後の骨癒合の状態を見るために大変重要です。
当院では、初診時のCTから2ヵ月ごとにCT撮影を継続的に行って、最長で約半年まで癒合状態の経過を追っています。
では、CT画像ではどんなことがわかるのでしょうか?
以下で、CT画像からわかる事についてご説明したいと思います。
CT画像からわかる事
CT撮影をするにあたり、それなりに費用もかかりますし、
長期にわたりスポーツ休止をしなければならないので、
患者さんや、そのご家族にとっては、なにかとご心配なこともあるかと思います。
CT画像の情報から、分離症の進行過程のどこの位置づけにあるのかを把握することで、
できるだけ早くスポーツ復帰していただくことができると当院では考えています。
上のCT画像にあるように、1度のCT画像だけでは、もうすぐ骨癒合をむかえる骨形成期なのか、
これから転換期に向かう骨吸収期のCT画像なのかがわかりません。
ですので、2ヵ月後のCT撮影が経過をみるという点で必要になってきます。