首下がり症候群

首下がり症候群とは、頸部伸筋群の著名な筋力低下によって、頸部中間位の保持が困難となる一連の症候群です。このページでは首下がり症候群に対しての運動療法を紹介します。

症例 64歳女性 一カ月前より頸のだるさと姿勢の保持ができないということで来院されました。

頸椎の理学所見では、神経学的な所見は認めませんでしたが、頸を後ろに動かしたときに痛みが誘発されました。レントゲン写真では、頸椎椎間板の狭小が認められました。また、頭部が前方へ移行し、上位頸椎も頸椎の前弯が消失していました。以上のようなアライメント不良は頸部伸筋群の筋力低下によるものと考え、外観からも胸椎後弯の増強も見られることから首下がり症候群と診断しました。

実際の運動療法

首下がり症候群に対するリハビリの目的は頸部伸筋群の強化と脊椎全体のアライメントの改善になります。そこで、以下のような運動を実施しました。

上の図は、首下がり症候群の姿勢改善を行うにあたりどのような考え方で実施するかについて示したものです。

Aは首下がりに伴う代償姿勢として腹部が前方に突出している図です。Bは姿勢矯正運動の一連の流れを示したものになります。

まず、肩関節伸展、肩甲骨内転運動(①)とドローイン(②)を組み合わせて頸椎と胸椎を伸展させて(③)、立位における体幹の安定性を図ります。

以上の運動を実施した結果が以下になります。

26週間後にレントゲンで確認したところ、頭部は後方(伸展)に移動できていることがわかります。

上の写真は運動療法を開始してから初診と3カ月後及び6カ月後を比較した外観写真です。

初診に比べて胸椎の後弯が改善され、頭部が後方移動し頸部の中間位が保持できており、姿勢が改善していることがわかります。

今回の運動療法で全ての首下がり症候群が改善するわけではありませんが、一度近隣の整形外科にご相談してみてはいかがでしょうか。

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