スポーツによる足の裏の痛みの代表的な疾患に足底腱膜炎があります。
陸上競技や、近年のジョギングブームに乗って、
この疾患もよく見られます。
痛みは慢性的な痛みで出てくることが多いのですが、
なかには一回の外傷で足底腱膜が断裂することもあります。
まずこのページでは、足底腱膜の炎症についてご説明して、
違うページで足底腱膜断裂についてご紹介します。
足底腱膜炎になると、下の絵の赤い丸で示した部分に痛みが出ます。
横から見ると、足底腱膜という土踏まずを作る腱が踵の部分についていることがわかります。
この部分で炎症をおこしたり、
腱膜の中央付近でも痛みが出る場合があります。
左の図は足底腱膜部を示しています。
足底腱膜部は中央部が特に緊張して、
足の土踏まずを作っています。
ところが、繰り返し足底腱膜部分にストレスがかかると、
踵骨とつながっている部分で引っ張り合うような力がかかり、炎症を起こしてしまいます。
外側にも腱膜はありますが、
それほど土踏まずに関与しているわけではありません。
症状では、朝起床時の着地第一歩目の痛みが強く出ます。
実際、発生のメカニズムは着地したときに
①の様に足底腱膜が伸張して、強い負荷がかかります。
さらに踵に付着しているアキレス腱が引っぱり上げて②、
③の様に推進力が働きます。
そのように蹴りだしの力が足にかかることで、
特に伸張されている足底腱膜が緊張を強いられます。
左の絵は足の親指を上にあげている絵ですが、
この状態では、足のアーチが高くなります。
この現象を巻き上げ機現象(Windlass mechanisum)といいます。
こうやって、ストレッチをすることが治療方法になります。
緊張を強いられている足底腱膜を緩めることが
治療につながるのです 。
左は、実際のストレッチを行っている図です。
自分でストレッチを行うときは良い方の手で、
悪い方の足をストレッチしてください。
靴が原因になっている場合もあるので、
土踏まずをサポートするようなランニングシューズが
適していると思います。
足指が曲がらないような硬い靴は、
お勧めできません。
以下で、実際の症例をご覧いただきたいと思います。
13歳の陸上部に所属している男性です。
練習量が増えて、足の裏の痛みを我慢しながら
競技を続けていましたが、
痛くて走れなくなったので御来院になりました。
写真の×印の部分に腫れと痛みがありました。
親指を伸張して、足底筋膜を緊張させると、
さらに痛みが増強しました。
エコーを撮ってみると、足底腱膜部分の肥厚があり、
炎症によって腫れていることが確認できました。
こちらのエコーは痛みのない方の足底腱膜部分です。
上の写真と比べると、足底腱膜の厚さが薄く
炎症が見られません。
15歳の高校陸上部の選手です。
やはり練習中に痛みが出て、特にスパイクシューズをはくと、
痛みが強く出ました。
×印のところに押さえると痛みがあり、
エコー検査をして見ました。
エコーを撮ってみると、足底腱膜の踵骨に付くあたりで、
赤矢印の先に示したように黒く腫れている映像がありました。
これによって、足底腱膜が炎症を起こしていることがわかります。
良い方の足の足底腱膜は、
青色矢印の先に示されているように、線維の切れ目がなく、
配列も奇麗になっています。
テーピングによる治療
スポーツ選手の足を守るには、テーピングがお勧めです!
左の写真にあるような市販のテープで十分できます。
写真左側のテープは伸縮テープです。
真ん中と右のテープはホワイトテープです。
(25mm幅と19mm幅のものです。)
以下で、テーピングの貼り方をご説明します。
ご自分でも簡単にテーピングできますので、
この説明を見ながら、やってみてください。
まず、土踏まずを横切るように伸縮テープを貼ります。
土踏まずをサポートするように、ホワイトテープを巻きます。
土踏まずの中央から踵を通り足の外側に巻きますが、
2本目は少しずらして巻きます。
土踏まずの中央あたりで先ほどのテープと×になるように
あと2本のホワイトテープを巻きます。
今度は踵の近くから、外から内に向かって、
横に並行してホワイトテープを巻きます。
最後に伸縮テープを上に張ります。
このテーピングはホワイトテープを使っているので、
固定性があります。
ですので、痛みの強い時や、
しっかりとアーチを保持したいときに有効です!
今度は、もう少し簡単な方法をご紹介します。
伸縮テープを土踏まずにそって縦に貼ります。
このとき、テープの始まりは足の親指の付け根あたりから、
踵に向かって貼っていきます。
2本目は、先ほどのテープよりもやや内側に貼ります。
その伸縮テープを隠すように、
ホワイトテープを横に並行に貼っていきます。
最後は、伸縮テープで周りを囲みます。
このテーピングの場合は、伸縮テープを多く使っているので、
固定性は弱いですが、柔軟性があるので、
足の裏での違和感は少ないと思います。
テーピングは、御自身でやってみて、
自分の感覚でしっくりするものを
選んでいただくといいと思います。
他にリハビリとしては以下の様なものがあります。
足底腱膜炎とは別に、腱膜部分が断裂してしまう場合もあります。
それはまた別のページでご覧いただきたいと思います。