腓骨神経損傷(ひこつしんけいそんしょう)

足の捻挫をした時に、傷めるのは靭帯や軟骨ばかりではありません。

時には、神経も損傷する場合があります。

今回は、足首を内側にひねったと同時に損傷するとされている腓骨神経損傷(ひこつしんけいそんしょう)をご紹介します。

上の図の×印は、腓骨神経の通り道を示しています。

その周辺から出た神経は、下の緑色の丸で囲んだ部分を支配しています。

報告によると、足首を捻挫した例の約2%に同時に腓骨神経損傷があるといわれています。

この図は、足首を内側にひねったときを示しています。

上部の赤丸で囲んだ部分から腓骨神経は皮膚のすぐ下へ出てきます。

また、下部の赤丸部分で囲んだあたりでは、距骨の角の部分で引き延ばされて神経が引っ張られてしまいます。

この状態で、神経が引き延ばされて腓骨神経麻痺が生じます。

しかし、この部分での損傷は腓骨神経の中でも、感覚を担当する神経のみ損傷されてしまうので、足指や、足首が麻痺してうごかないということはありません。

こちらは、クラブの練習中に捻挫して受傷された患者さんの写真です。

テーピングをして、足首の捻挫は治りましたが、そのあといつまでも斜線部分のしびれと痛みが残っていました。

赤×印がこの神経の出口で、ここをたたくと下の斜線部に痛みが出ます。

さらに、斜線部の感覚が鈍くなっています。

神経の損傷とはいえ、完全に神経が切れているわけではないので、心配はいりません。

この方も、2~3週間で症状が無くなりました。

このように、捻挫にともなって神経の麻痺が起こる場合もあるので、
捻挫後に腫れが引いたにもかかわらず、
まだ痛みやしびれが残る場合、
腓骨神経損傷を疑ってみる必要があると思われます。

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