靴を履いて歩くと、足首の前あたり(足の甲)が痛くなることはありませんか?
靴紐や、靴のベルトを本番もしくは試合で、きつく締めて、その後足が痛くなったことはありませんか?
靴をはかなければ、痛みがないということであれば、靴が原因のことが多いものです。
靴紐や靴のベルトが足の甲に食い込み、痛みを引き起こすことがあります。
靴紐の食い込みが長時間に及んだり、食い込む場所によっては、足にしびれを伴う場合もあります。
今回このページでは、靴紐や、靴ベルトの食い込みなどによる痛みとしびれの症例をご覧いただきたいと思います。
29歳の男性です。
左足関節前面の痛みを訴えて来院されました。
1カ月前より、階段の上り下りで痛みを感じたそうです。
足関節を背屈すると、痛みが増強するそうです。
左のレントゲンは、初診時のものです。
赤色矢印で示した距骨部に骨棘が認められますが、
直接の痛みの原因ではありませんでした。
靴を履いているときに、特に痛みが強くなるとのことで、
実際に靴を履いていただいて痛みの部位を確認しました。
赤色矢印で示したベルト部分の下が、痛いということです。
この靴で背屈すると、痛みが増強するとのことで、
実際にその肢位をとっていただきました。
赤色矢印で示しているところをベルトで強く締めているため、
足に食い込んで、痛みがあるとのことでした。
治療としては、痛みの原因が起こっている要因をお伝えし、
少しベルトを緩めていただくように指導しました。
36歳の男性です。
右足関節前面の痛みを訴えて来院されました。
左の写真は初診時の外観です。
この靴を履くと、赤色矢印で示した右足関節前面が痛くなるそうです。
特に足関節を背屈すると、痛みが増強するとのことでした。
左の写真は、実際に痛みが出る肢位をとっていただいたものです。
赤色矢印で示した痛みのある部位に、
靴の縁が当たって食い込んでいるのがわかりました。
これが痛みの原因であると、説明をし、
患者さんも納得してくださいました。
13歳の女の子です。
左足関節前面の痛みを訴えて来院されました。
左の写真は、初診時の外観です。
赤色矢印で示した左足関節前面が、痛いとのことでした。
バレーボール部に所属しており、
練習の時に痛みがあるとのことです。
実際にバレーボールで使用する靴を持ってきていただいて、
状況を確認したのが、左の写真です。
赤色矢印で示した部分が、痛いとのことです。
左の写真のように、靴紐を結ぶ部分と、
痛みの箇所が一致していることがわかります。
この靴は2週間前に新しいものに変えたばかりで、
足に靴がなじんでいないことから、
靴紐を強く締めるようにしていたそうです。
痛みの原因が、靴紐を強く締めることであるとわかったので、
少しゆるめに締めていただくように指導しました。
38歳の女性です。
左足のしびれを訴えて来院されました。
左の写真は初診時の外観です。
赤色矢印の部分に痛みを訴えられており、
斜線の部分にしびれと知覚低下を訴えておられました。
足のしびれの症状が、靴を履くと増強するとのことです。
実際に靴を持ってきていただき、履いてみて確認したところ、
赤色矢印で示した部分に痛みを訴えておられました。
左の写真は、靴を履いた状態で、
足を側面から見たものです。
靴紐をきつく締める癖があり、
赤色矢印の部分が痛くなり、
痛みが出たら、足趾の方までしびれが出てくるとのことでした。
しびれの原因が、
靴の締め付けによる「前足根管症候群」であるとわかりました。
原因がわかり、患者さんはほっとしておられました。
靴紐を緩く結んでいただくように、指導しました。
12歳の男の子です。
左足のしびれを訴えて来院されました。
バスケットボール部に所属しており、
クラブ活動中、特にしびれが強く出るそうです。
左の写真は初診時の外観です。
赤色矢印で示した部分の痛みと、
そこをたたくと黒い斜線の部分に、しびれが増強するとのことでした。
後日、クラブ活動中、使用している靴を持参していただきました。
左の写真は、使用している靴を履いていただいた外観です。
クラブ活動中は左の写真のように、
靴紐を強く締めてはかれているそうです。
左の写真のように、踵をあげるような肢位をとると、
指先に灼熱感があるとのことでした。
足のしびれの原因が、
靴紐を強く締めることによる
「前足根管症候群」であるということがわかりました。
対処法として、少し靴紐を緩めていただくように指導しました。
19歳の女性です。
右足背部の痛みと足趾のしびれを訴えて来院されました。
赤色矢印で示した部分が痛み、
黒斜線の部分がしびれるとのことでした。
お話をよく聞くと、2ヶ月前からダンスのアルバイトを始めたそうです。
アルバイトを始めた1ヶ月後から症状が出てきたそうです。
左のレントゲンは初診時のものです。
赤色矢印が痛みを訴えている場所です。
しかし、レントゲンでは特に異常は見られませんでした。
左の写真はダンスをするときに履いているダンスシューズです。
激しくダンスを踊るため、靴がずれたり、脱げたりしないように、
靴紐を強く締めているそうです。
以下の写真が実際に靴を履いているところです。
上の写真と比べて、かなり靴紐を強く締めて
履いていることがわかります。
この靴を見て、
初めて靴による「前足根管症候群」であるということがわかりました。
痛みやしびれの原因がわからず、不安だったそうですが、
病態を説明することで、患者さんも納得してくださいました。
痛みが出ない範囲で、靴紐を締めるように指導しました。
靴を履いたときだけ、足の甲が痛いという場合は、靴が原因で痛みを引き起こしていることがあります。
また、原因不明の足のしびれは、誰しも不安に駆られるかと思います。
よく原因を調べてみると、靴が問題でしびれや痛みが出ていることもあります。
足のしびれなどで、お困りの方は、一度上記のような状態の靴を履いていないか、確認していただければと思います。