マシントレーニングの効果を日常生活の動作で発揮する方法

デイサービスきずなでは、利用者の皆さんにマシンを使ったトレーニングを行っています。

これは、上肢、下肢、体幹など身体を支える筋肉を鍛える目的で行っています。

しかし、闇雲にマシントレーニングをするわけではありません。

訓練を行うことで得られた筋力を、日常生活動作につなげることが目標としています。

このページでは、マシントレーニングがどんな効果をもたらして、
日常生活のどういった動作に役立っているかについてご説明したいと思います。

マシントレーニングはどういった効果をもたらすか?

一般の方がマシントレーニングをするというのは、スポーツでのパフォーマンスを上げるために行ったり、
健康作りのために行うことがほとんどです。

一方で、高齢者を対象とした場合は、以下のような意義があります。

1) 加齢による萎縮の著しい筋の機能を高める

2) 日常生活の活動に関連の深い筋の機能を高める

3) 全身の代謝を活性化させたり、内分泌の活性化を促す

マシントレーニングってかえって身体を痛めませんか?

機械を使って行う運動は、ついやり過ぎてしまったり、関節が痛いにもかかわらず続けると、
かえって身体を痛めてしまうのではないかと思われるかもしれません。

そこで、マシントレーニングが、高齢の方でも安心して使っていただけるようにその利点を示します。

比較項目 マシン トレーニング
動作の軌道 一定 任意
難易度
安全性
スペース効率
応用性
筋力増強効果
面白さ

 

上の表は、マシントレーニングとフリーウエイトの運動を比較したものです。

マシントレーニングの利点は、一定の軌道で反復して同じ運動ができるので、高齢者の方でも技術習得が簡単です。

また、おもり負荷の調節が容易にできるので、痛みが生じたときに軽くするといった対処が即座にできる点です。

マシン自体は場所を取ってしまいますが、誤って機械を落としてしまっても身体に直接触れて
怪我をする心配はないので、安全に運動が行えます。

どんなマシントレーニングが効果的なのか?

座る、立つ、歩くなどの日常生活動作や直立姿勢を保つために大切な筋群が以下のものです。

上記の加齢に伴う筋萎縮の著しいとされる筋肉の中で、最も顕著に表れるとされているのは、大腿四頭筋です。

大腿四頭筋の筋断面積は、20歳代をピークとすると30歳代~70歳代の間に、ほぼ半減すると言われています。

そして、この大腿四頭筋は、膝関節の周囲に付着しているので、関節の安定性に役立っています。

ですので、大腿四頭筋をマシンで鍛えると言うことは、膝関節の安定性につながり、
立ち座りの安定性に役立つことになります。

マシンのおもりや回数は、どれぐらいがいいの?

筋力をつけるためには、段階的におもりや回数を増やしていく必要があります。

その目安となる表を示します。

高齢者の方でも十分に筋力強化と筋肥大は期待できます。

適度なおもり負荷は、上の表にあるようにやや重いと感じながら10~15回程度できる重さが良いと思います。

続けていくうちに、「軽い」と感じ始めたら、おもりを追加して行ってみてください。

まずは、ご自身の動作をチェックしてみましょう!

マシントレーニングで筋力を強化できたとしても、筋力を効果的に発揮しないと動作がうまく行えません。

そこで、デイサービスでマシントレーニングと平行して日常生活動作につなげる運動を行っています。

まず第一に、基本動作を確認することから初めてみましょう。

その例として、立ち上がり動作を振り返ってみましょう。

上の写真にあるように、手に力を入れてもうまく立ち上がれないケースがあります。

そこで、以下の写真のように動作を確認してみましょう。

ご自身の立ち上がり動作がどこでうまくできていないかを確認したうえで、必要な訓練を実践してみましょう。

難しい場合は、スタッフが一緒にみていきます。

以下で、日常生活の動作が、スムーズにできるように運動をいくつかご紹介していきます。

「立ったままだとふらついてズボンが履きづらい!」

片脚で立つ時間を少しでも長く保てるように、片脚起立運動(ダイナミックフラミンゴエクササイズ)が有効です。

初めは、手すりにつかまって行っていただいても大丈夫です。

慣れてくれば手すりを離して行います。
同じ姿勢でその場足踏み運動をゆっくりするのも効果的です。
片脚立ちの目標として、20秒間保てることができれば、転倒の危険性を回避できるという一つの目安になっています。

「いすから立ち上がるのに時間がかかってしまう!」

椅子から立ち上がる第一段階として、体重を前に移動させる目的で手を伸ばして重心移動を行います。


上の写真のように手を前に伸ばしますが、慣れてきたらさらにお尻を浮かせるようにします。

次に、実際に椅子からの立ち上がりを想定した運動を行ってみます。

上の写真にあるように、手すりを持って腰を下ろしていきます。

マシントレーニングで大腿四頭筋を鍛え、上記のスクワットエクササイズでさらに実践的な運動を行います。

20回を1セットとして、連続して行うのが無理な場合は10回ずつに分けて行います。

「足の出方が小さくて、転びそうで怖い!」

足の力をつけても、実際に歩いてみないと恐怖感で足が前に出ないということがよくあります。

そこで、まずは以下のような運動から取り組んでみられると良いかと思います。


上の写真は、足関節の柔軟性を高める運動です。

立位で行うと、ふらついて不安がある場合は座って行っても大丈夫です。

慣れてくれば、立位でつま先立ち、かかと立ちを繰り返し、
重心を前方に寄せたりかかとのほうに移動させたりしながら体重移動の練習をします。

上の写真にあるように、黄色いラインのある直線を歩くことを挑戦してみます。

ラダーを越えることで、一歩を踏み出すきっかけになるので、
足が前に出やすくなってきます。

「駅まで遠くて歩けない。坂道になるとすぐに息が切れる!」

マシントレーニングで鍛えた下肢筋力を有効に発揮できるように以下の運動をお勧めしています。

ウォーキングマシンでは、かかとから着地し、つま先で蹴るという一連の動作を確認しながら行います。

エアロバイクでは、歩いて息が切れるようなことが少しでも改善できるように、心肺機能を高める目的で、こぎ続けます。

そして、息が上がることが少なくなってくれば、踏み台昇降を繰り返し行って、負荷をかけていきます。

以上のようにマシントレーニングで筋力の向上を行った後には、
実際の生活にそくした運動を加えることで、日常生活動作がスムーズにできるようになりました。

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