中手骨基部骨折(手の打撲と思っていたら、骨折だった!)

中手骨骨折についてはいろんなページで御紹介させていただきましたが、
外観上は変形が目立たないので、打撲か、捻挫かと思われますが、
実は骨折だったということがあります。

それは中手骨の基部といって、手の甲のあたりでおこる骨折なので、
腫れや痛みがあっても、指を動かすことはできるので、骨折とわかりづらいのです。

このページでは、中手骨基部の骨折について御紹介していきます。

中手骨は、下の絵のように手の中ほどにあります。

親指側から1~5の番号が付いています。

このページで御説明する「中手骨基部」は中手骨の一番下側に当たる部分です。

実際の外観は下の写真のような感じになります。

腫れていても、あまり強く腫れているようには見えません。

また、手も動かすことができます。

レントゲン写真を撮ってみると、赤矢印先のところに骨折があることがわかります。

中手骨基部の部分には以下のような特徴があります。

上の図で示しているのは中手骨の基部、あるいは基底部につく筋肉の腱です。

それぞれは第2中手骨、第3中手骨、第5中手骨についていて、
手首を上へ返すときに働く腱です。

中手骨基部骨折の中には、この腱が骨折部分を引っ張って小さな骨片を伴う剥離骨折のタイプもあります。

また、中手骨は手根骨と呼ばれる手首の関節を構成する骨と連携しています。

第1から第5までの中手骨の基底面は手首を構成する手根骨と関節をつくっています。

それを「CM関節」といいます。

この関節面は非常に小さい関節面で、可動性はあまりありません。

しかし、中手骨基部が骨折すると同時にCM関節面が壊れてしまう場合もあります。

ですので、脱臼骨折という状態になって、そのままその状態が残ってしまうと、慢性的な痛みが残る場合があるので、
できるだけ元の位置に近い状態に整復する必要があります。

では以下で、実際の患者さんについて御覧いただきたいと思います。

9歳の女の子です。

跳び箱の練習中に誤って手をついて受傷されました。

腫れと痛みが強くなったため、近隣の病院に行って、
骨折の固定処置を当院で受けるように紹介になりました。

御覧のように手が腫れて、手指も少し動かし辛そうでした。 

レントゲン写真を撮ると、
左手第3・4・5の中手骨基部に骨折が見つかりました。
(赤丸で囲んだ部分です。)

ですので、徒手整復操作をおこなって、
ギプス固定を行いました。

ギプス固定後、3週間のレントゲン写真です。

骨の中はほとんど埋まり、
指を動かしても痛みはなかったので、ギプスを除去しました。

指の機能的にも問題はなく、
特別なリハビリもなく、治療終了となりました。 

13歳の男性です。

第5中手骨基部の骨折が認められた患者さんですが、
骨折部が安定していて、変形もなかったので、
患部の安静を目的にギプス固定を行いました。

そして、ギプスの緩みもあり、
10日後巻き直しをすることになり、
再びレントゲンを撮ってみたところ・・・。

第4中手骨の頚部にも、仮骨形成があって、
こちらも骨折していたことがわかりました。
(上部の赤色矢印の先で示した部分です。)

ですが、痛みもなく、腫れも引いていたので、
ギプスを除去しました。

その後、問題もなくすごしておられます。 

21歳の男性です。

アメリカンフットボールの試合中、相手選手と接触し、
手の痛みを訴えて、来院されました。 

レントゲンを撮ってみると、
第3中手骨の基部からわずかに離れたところに小骨片が見つかりました。(赤丸で囲んだ部分です。)

ですので、ギプス固定を行い、
約2週間後に取り外しのできるギプスに切り替え、
さらに1週間固定後完、全に固定を除去しました。

この時点で練習復帰となりました。

65歳の女性です。

第5中手骨の基部の骨折です。

赤矢印で示したところに骨折線が見えます。

別の角度からレントゲンを撮ってみると、
第5中手骨の基部に小骨片を残し、
すこし関節面からずれるタイプの骨折であるとわかりました。

そこで、またさらに別の角度から撮ったレントゲン写真を見て、
骨がどれぐらいずれているのかを確かめました。

赤矢印で示したところに段差が生じていました。 

そういうわけで、徒手整復を行い、
ずれている骨を元の位置に戻し、 
赤色矢印で示した部分に圧をかけてギプス固定を行いました。

ギプス固定を約3週間行い、
その後痛みもなく、手の動きも良好でしたので、
ギプスを除去と同時に治療終了になりました。

14歳の男性です。

喧嘩で相手を殴って受傷されました。

レントゲンを撮ってみると、第5中手骨の基部に小骨片を伴って、
CM関節から骨が脱臼していることがわかりました。
(赤色矢印の先で示した部分です。) 

徒手整復を行い、骨が元あった位置まで戻して、
赤色矢印の部分に圧をかけながら、ギプス固定を行いました。

左の写真が、ギプス固定の外観写真です。

矢印の先で示した部分に圧がかかっていて、
ギプスがへこんでいます。

その後、ギプスの巻き直しなども繰り返し、
固定を約3週間行いました。


固定除去の時点で、
最終的に完全に骨を元の位置に戻すことはできませんでしたが、
手の機能としては良好な結果を得ました。 

固定除去の時点で治療終了となりました。

58歳の男性です。

第5中手骨の基部で完全に骨が折れていて、
L字型に変形をしていました。

変形した第5中手骨を徒手整復で元の位置に戻し、
赤色矢印の先で示した部分に圧を加えてギプス固定を行いました。

ギプス固定を行った後に、レントゲンを撮って確認を行いました。

骨折した骨が元の位置に戻っていることがわかります。

ですので、この状態で固定を約3週間継続しました。 

経過も良好で、指の機能にも問題なく、
この時点で治療終了となりました。

第5中手骨基部の骨折は変形をすることは少ないのですが、
中には上で示したような徒手整復が必要な場合もあります。

手を打って腫れて気になったら、
処置は早いほうがいいので、
できるだけ早く病院へ行かれることをお勧めします。

きっちりと早い目に治すことが、完治への近道です!