腓骨遠位端骨折(捻挫による足関節の骨折)

足の捻挫をしたと言っても、様々な怪我があります。

今回ご紹介するのは「腓骨遠位端部で起こる骨折(斜骨折)」です。

この骨折は、骨折だけでなく、靱帯も傷めてしまうことがあります。

別名、「足関節の果部骨折」とも言われています。

この怪我は、手術を勧められる場合が多いのですが、手術をせずに治せる可能性のあるタイプもあります。

実際の患者さんの症例をご覧いただきながら、説明していきたいと思います。

腓骨遠位端骨折(果部骨折)とは?

足関節は脛骨、腓骨、距骨で構成され、骨構造と靱帯支持で安定性を得ています。

立脚期には、足関節の関節面に体重の4倍もの荷重がかかると言われています。

腓骨側のくるぶし(外果)は足関節にかかる荷重の約10%を支えています。

これらの足関節の構造が破綻してしまう骨折が腓骨遠位端骨折(果部骨折)です。

以下のような様々な骨折のタイプがあります。

図の①は、前脛腓靱帯よりも末梢での腓骨骨折で、②は前脛腓靱帯部での骨折で、
①と②は骨折部は安定していることが多いので、保存療法の適応と言われています。

③前脛腓靱帯より近位での骨折で、このタイプは骨折部の安定性が悪いため、

保存療法に抵抗する場合には手術も考慮する必要があります。

保存療法であれば、ギプス固定を5~6週間行います。

固定期間中に体重を多少体重をかけても大丈夫ですよ

骨折のタイプにもよりますが、ギブス固定をおこなっている間に多少体重をかけても大丈夫です。

上の写真は、先に示した②番の腓骨遠位端骨折のレントゲン写真です。この骨折型は骨折部が安定しているのでギブス固定をしっかりとおこなえば固定期間中も多少体重をかけても大丈夫です。上で示したとおり初診時、1週間後、4週間後に置いて骨折部は、全く動かずに済んでいます。(赤矢印の部分)この間に松葉杖をついて痛みのない範囲で部分的に体重をかけています。

6週間で歩けるようになります

当院では腓骨遠位端骨折の固定療法は、以下のように行っています。

上の写真は、腓骨遠位端骨折の固定療法で実際に行っている方法です。初診時から、4週間は骨折部が安定するように膝下から足背部分までギブス固定を行ないます。そして、仮骨形成がみられたら取り外し可能なU字ギブスに変えて2週間固定を行ないます。このように合計6週間の固定を行うなかで、骨折部が安定したと判断できたら、徐々に足関節の可動性をうながしていきます。その結果6週間で、歩行が可能になります。以下で実際の患者さんを紹介していきます。

30歳、男性。左足関節の痛みを訴えて来院されました。前日、酔って転倒し受傷されました。上の写真は、初診の外観です。外果(外くるぶし)が腫れて皮下出血班を確認できました。(赤矢印の部分)

初診時のレントゲン写真では腓骨遠位部に螺旋状の骨折が確認できました。(赤矢印)治療は、膝下からのギブス固定を4週間と、取りはずし可能なU字ギブスを2週間、合計6週間の固定をおこないました。6週間後のレントゲン写真では、骨折部の転位はなく仮骨形成(骨癒合の兆候)が確認できました。この時点で痛みもなく歩行が可能で、足関節の動きに左右差は認めませんでした。

34歳の女性です。

右足関節の痛みを訴えて来院されました。

受診日当日の深夜に、自転車に乗っていて、
路面が凍っていたため、スリップして転倒し、
受傷されました。

左の写真は初診時のものです。

赤色矢印で示した部分が痛みを訴える場所で、
腫れているのがおわかりいただけると思います。

左のレントゲン画像は初診時のものです。

足関節を正面から撮影しています。

赤色矢印で示した部分に、骨折と思われる線が認められます。

左のレントゲン画像は斜めからと、側面から撮影したものです。

正面からのレントゲン画像では、
どのように骨折しているかわかりにくかったのですが、
このように角度を変えて撮影すると、
赤色矢印で示しているように、腓骨に斜めに骨折線が入っていることがわかりました。

前脛腓靱帯より遠位での骨折だったため、
手術をせずに治療可能と判断し、ギプス固定を行いました。

左のレントゲン画像は受傷5週間後のものです

骨折部の圧痛は消失してきており、
初診から骨にずれが無いため、
取り外し可能なギプス固定を変更しました。

1週間後より、歩行可能となり、仕事への復帰もできました。

28歳の男性です。

左下腿外側の痛みを訴えて来院されました。

昨日、フットサルの試合中、左足を下にし、
スライディングをした際に、足を引っかけ転倒し、受傷されました。

歩くことができなかったため、救急車で救急病院へ行き、
腓骨骨折と診断を受けたそうです。

左の写真は初診時のものです。
赤色丸印で示した部分に腫脹が見受けられます。

左の写真の赤色矢印の足関節の内側部分には、
皮下出血も確認できました。

左のレントゲン画像は初診時のものです。

赤色矢印で示した腓骨骨幹部に骨折が認められました。

青色丸印の足関節内側の隙間が、
健側よりも開いていることがわかります。 

これは前脛腓靱帯よりも近位で骨折しているため、

三角靱帯の損傷も合併していると考え、
徒手整復よる、ギプス固定を行いました。

左のレントゲン画像は徒手整復を行う前と、後を比較したものです。

骨折部の転位は元に戻っており、
青色丸印で示した、足関節の内側の隙間も元に戻っていることが
わかります。

整復位が良好であったため、ギプスによる保存を行いました。

左のレントゲン画像は、受傷6週後のものです。

腓骨部分に仮骨が認めまれたため、
徐々に体重をかけていく訓練を行いました。

ギプス固定は、7週間行いました。

お仕事にも、復帰され、サッカーもできるまで回復しました。

今回ご紹介した骨折は、手術をせずに治せる可能性のある骨折です。

ついつい骨折している部分だけに目がいきがちですが、
靱帯損傷や二カ所以上の骨折を合併していることが多くあります。

足の捻挫と軽く見ず、できるだけ早い目にお近くの整形外科の受診をおすすめします。