腓骨遠位端裂離骨折(捻挫と思っていたら、骨折だった!)

足関節捻挫と同じような受傷の仕方で骨折が生じることもあります。

とくに多いのは、腓骨と呼ばれる外くるぶしの骨の一部がはがれてしまう腓骨遠位端裂離骨折です。

大きく分けて、子供さんに見受けられる場合と、
御年寄に見受けられる場合の2つのパターンがあります。

以下では、いろいろな実例をあげて、ご説明したいと思います。

下の図で赤い丸で囲んだ部分に張れと痛みが生じます。

まさしく足の捻挫をしたときと同じような場所が痛くなります。


左の写真は7歳の女の子が椅子から飛び降りて、
足をひねったということで、来院された時の写真です。

赤丸で囲んだ部分が腫れているのがわかります。

外側から見ると、くるぶしのあたりが腫れていて、
赤矢印の先が示している部分に痛みがあります。

一見、皮下出血もなく、腫れ方もさほど広い範囲で
広がっているわけでもないので、ねんざではないかと思いましたが、歩き方や、押さえたところの痛みの程度から考えると、
骨折の可能性も考えられました。

レントゲンを撮ってみると、
一見何もなさそうな様子です。

でも、角度を変えてレントゲンを撮ってみると、
赤い丸で囲んだ部分に、三日月形の骨片が見つかりました。

受傷して間もないですし、小さなお子さんなので、
ギプス固定をすれば骨がくっつくものと判断しました。

ギプス固定をしてから、
1か月半の時点でレントゲンを撮ると、
左の写真の様に骨がちゃんとくっついていました。

うまく完治できた例です。

10歳の男の子、足をひねったということで
来院された時の最初の写真です。

赤い丸で囲んだ部分が、腫れているのがわかります。

外側から見てみると、
くるぶしの周りに薄い紫色の皮下出血のあとが
見受けられます。

単純な捻挫ではなくて、
ひょっとすると腓骨の端が折れている可能性が
考えられます。

レントゲンを撮ってみると、
正面から見た写真では、赤丸の部分に骨折の所見は
見られませんでした。

むしろ、反対側の方に3年前に怪我をした時の
骨折片が見られました。

角度を変えてレントゲン写真を撮ってみると、
腓骨の端に三日月形の骨片が写っていました。

さらにエコーを撮ってみました。

3年前に骨折した足首の骨片は、
くっつかずにそのままになっていることがわかりました。

しかし、本人はまったく痛みを訴えることなく、
クラブ活動もできていました。

今回ひねった方の足のエコーは、
小さな骨片が赤矢印の先に写っており、
周辺が皮下出血によって、黒く写っていました。

彼もギプス固定を1カ月して、経過を見ました。

骨は完全にはくっつきませんでしたが、
痛みもなく、クラブにも無事に復帰できました。

今度は、68歳の女性です。

玄関の段差で足を踏み外して、
足首をひねり、来院された時の写真です。

赤矢印で示している先に、押さえると強い痛みが出ます。

くるぶしの周りも腫れています。

レントゲンを撮ってみると、
少しくるぶしの骨に段差があるようにも見えますが、
骨折線がはっきりと見えない状態です。

ですので、エコーで見てみると、
左側の健側はスムーズで一連のつながりが見えますが、
右の患側には、赤矢印の先端部分に
段差が生じて、連続性が途切れています。

そういうわけで、骨折と判断し、
1か月のギプス固定をしました。

その後、無事に完治し、
日常生活も問題なく過ごされています。

以上の様に、足関節の捻挫だと思っていたら、
骨折していたということが実際に起こります。

なぜこのような骨折をしてしまうかというというと、
お子さんの場合は、骨が軟らかく衝撃にもろい性質があり、
高齢者の方の場合は、骨が骨粗鬆症でもろくなっていて、
足首の靭帯もろとも骨も引っ張られて、このような骨折がおこるということがあげられます。

そういうわけで、この骨折は、お子さんと高齢者の方に見られることになるのです。

腫れて痛みもあるし、歩きづらいという場合には、
単なるねんざと過信せず、一度ちゃんと診察を受けてみられることを勧めします。

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