長胸神経麻痺(ちょうきょうしんけいまひ)

あまり聞きなれない神経の麻痺ですが、この長胸神経麻痺はリュックサックを背負い続けたことにより、
神経が圧迫されて生じることもあります。

そこで、このページでは、長胸神経麻痺とはどんな疾患で、リュックサック麻痺との関係について御紹介したいと思います

長胸神経の走行
上の図は、腕神経叢(わんしんけいそう)という神経の束から、腕や肩に向かって枝分かれしていく神経の走行を表したものです。

長胸神経は、腕神経叢の上部で頚椎から出る神経の中でも、5,6,7番目の神経の枝から出てきます。

そして、鎖骨の周辺を下降し、前鋸筋(ぜんきょきん)と呼ばれる筋肉を支配します。

上の図にもあるように、前鋸筋は肋骨と肩甲骨に付着していて、肩甲骨を体幹に引き寄せて安定させる作用があります。

冒頭にも述べましたが、長胸神経がなぜリュックサックを背負ったときに、
麻痺を起してしまうのかということについては下の図をご覧ください。

リュックサック麻痺の病態

頚椎から出た神経の走行は、上の図で示した通りですが、
その通り道をリュックサックの紐で圧迫を受けた時に神経が麻痺してしまいます。

ストラップが腋の方にずれてきて、くいこんだときに、圧迫されやすい部位は上の図で示した太い赤矢印の部分になります。

この場合、圧迫される部位は、腋よりも下の方になり、圧迫される神経によって、出てくる症状も変わってきます。

症状は、単独で神経が麻痺する場合もありますし、複数の神経の麻痺がおこる場合もあります。

主に障害を受ける神経は、長胸神経の他、腋窩神経や筋皮神経などあります。

リュックサックに限らず、荷物を担いだり、重たい物を担ぐ運送業などの方にもみられる神経麻痺です。

症状
長胸神経が麻痺した場合

壁に手をついて、力を入れた際に、前鋸筋が利かないので肩甲骨が浮いて見えます。 (赤色矢印の部分)
これを翼状肩甲と言います。

腋窩神経が麻痺した場合

腕を上げて、力を保持したいのですが、三角筋が利かないので、腕を完全に上げることができません。

筋皮神経が麻痺した場合

肘を曲げたいのですが、上腕二頭筋が利かないので、肘を完全に曲げることができません。

それぞれの神経麻痺に共通する治療としては、腕に負荷がかからないように注意して、局部の安静を図るだけで回復していきます。

回復には個人差がありますが、期間としては、だいたい1か月から1か月半ぐらいです。

リハビリとしては、特に積極的に動かすことはありませんが、痛みや違和感のない範囲で、肩周囲の筋肉の強化を行っていきます。

それぞれの神経麻痺については、以下のリンクから御覧ください。

物を担いでから、腕が上がらないとか、肘が曲がらないなどの違和感があった場合には、
早い目に整形外科へ御相談ください。