扁平足障害(土ふまずがなくて、足が疲れて痛い!)-回内扁平足-

「扁平足」という言葉を聞いて、皆さんは土踏まずのない平たい足をイメージされていると思います。

一般に言う扁平足は、疾患としては「扁平足障害」というくくりになります。

足の土踏まずの高い、低いは個人差があります。

ですが、扁平足障害は明らかに健常な状態とは違っていて、原因となる疾患も数々あります。

このページでは、扁平足障害というカテゴリーの中で、原因の異なる疾患をいくつか挙げていき、

それぞれの違いについて説明していきたいと思います。

足裏から見た扁平足の重症度分類

下の図は、フットプリントに足を置いたときの接地面を示した図です。

正常の場合は、縦アーチがある分、くの字型になっていますが、
扁平足の重症度が増すにつれ、縦アーチが消失していくので、平たい面が増えていきます。

高度(3度)になると、縦アーチが消失したことによって、

骨のアライメントも変わってくるので、内側に骨が突出するような変形が見られます。

扁平足による重症度分類で、軽度の方の足底は、実際には、以下の写真のように見えます。

写真に写っている右側の足底で、白くなっている部分が地面と設置して体重のかかっている所です。

外観をよく観察してみると、以上のようなことがわかり、足底板の処置の参考になります。

扁平足で痛みを訴える部位

扁平足が生じている場合、痛みが出る部位は、足部だけとは限りません。

扁平足によって、足のアライメントが、変わることで、色々な部分に痛みが出てきます。

それを表したのが、下の図です。

足部以外に、大腿部、股関節周辺など、離れた部位でも痛みが出る場合があります。

扁平足障害の治療では、足底板療法を行う場合が多いのですが、
足部のアライメントを調整して、単に足の痛みをとるだけでなく、
下腿や大腿部に生じている関連した痛みをも緩和することができます。

レントゲン写真から見た扁平足

扁平足の客観的な指標として、整形外科ではレントゲンを撮って、扁平足の程度を評価しています。

扁平足の方には、立位の状態でレントゲン撮影を行います。

左の図は、レントゲンによる扁平足の程度を示しています。

レントゲンでは距骨の角度と、第一中足骨の織りなす角度で重症度が分けられています。

右の写真は実際のレントゲン画像です。

レントゲンによる重症度分類と、対比すると中等度にあたります。

このように、扁平足は外観のみならず、レントゲンでも客観的に評価することができます。

扁平足と関連性のある疾患

扁平足が起こるのには、多くの原因があります。

また、扁平足の方はいろんな障害を引き起こします。

ですので、アライメント異常によって扁平足が生じている場合は、足底板による治療を行い、痛みを軽減します。

以下のリンク先のページで、扁平足を引き起こす疾患と、

扁平足によって引き起こされる障害をご詳しく紹介していますので、ご覧ください。

扁平足を引き起こす疾患扁平足によって引き起こされる障害
後脛骨筋機能不全シンスプリント
腓骨筋痙性扁平足(Peroneal spastic flat foot)アキレス腱炎
有痛性外脛骨足底腱膜炎
足根骨癒合症外反母趾

以上にあげた疾患以外にも、扁平足によって引き起こされる障害はあります。

以下で、実際の症例をご覧いただきたいと思います。

73歳の女性です。

右足内側部の痛みを訴えて来院されました。

歩くと右足関節内果周辺の痛みがあるとのことです。

左の外観写真は初診時のものです。

赤色の線で示したように、右足は回内足を呈していました。 

左の写真は、やや斜め後ろから見た外観写真です。

回内足により、土ふまずが消失していました。

レントゲン撮影を行ったところ、
右足の距骨・第1中足骨角は20°であり、
扁平足重症度分類では中等度であるという事が
客観的にわかりました。 

圧痛が後脛骨筋腱沿いにあり、
回内扁平足がみられることから、
後脛骨筋機能不全が原因で、扁平足が生じているとわかりました。

以上のことから、内側楔状足底板を踵の内側に処方し、
回内足の矯正を行うようにしました。 

21歳の男性です。

左母趾MTP関節の痛みを訴えて来院されました。

3か月前より、痛みがあり、靴選びに苦労しているとのことでした。

左の外観写真は初診時のものです。

左足に外反母趾が見られました。

レントゲン撮影を行ったところ、靴を履いていない状態から、
靴を履いた状態のものと比較したところ、
外反母趾の角度が強くなり、
左母趾のMTP関節が靴に押しつけられていることがわかりました。 

足のアライメントを確認してみると、
両側ともに回内足が著明に認められました。

足底も確認したところ、
右足は高度の扁平足、左足は中等度の扁平足が認められました。 

よく話を伺うと、扁平足は子供のころからあり、
外反母趾は3年ほど前から気になり始めたとのことでした。

以上のことから、扁平足が原因となり、
外反母趾を引き起こしていると考え、 
左足には内側にウエッジシートを、

右足には縦アーチパッドを処方し、

足のアライメントを改善する処置を行いました。

扁平足は大腿部や膝が痛いなどといった場合にも関与していることもあります。

足のアライメントを確認して、痛みの原因を見つけることが治療の近道になります。

扁平足でお困りの方は、一度ご相談ください。

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